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夏蜜柑   一考   

 

 眼鏡を買ってきた。世の中が隅々まで一段とよく見えるようになった。45歳のときにはじめて眼鏡を誂えたのだが、その折は大旨1.0だった。63歳になって相当進んだように思っていたのだが、1.5だった。老眼の進捗はかなり遅い。もともと視力が良かったせいなのかもしれない。
 今日はいろいろと買い物を済ませたのだが、ロジャーズで夏蜜柑を見付けたのは嬉しかった。いつぞや見舞客が持ってこられた罐詰のなかに夏蜜柑が入っていた。それと同じ商品が120円で売られていた。ロジャーズはやはりバッタ屋である。食欲がなくなったときにこれは最高の贈り物になる。ついつい箱で買ってしまい、雨のなかを大事に抱えて車へ急いだ。今日の夜食は夏蜜柑である。
 「物買ってくる、自分買ってくる」耕衣さんが柳宗悦から掻っ払った言葉だが、わたしもしばしば用いる。書画骨董から雑器に至るまで、自らの眼力にひとは金を出すのである。蜜柑罐ひとつにしても、旨いものから拙いもの、どっちでもないものに分かれる。この場合は眼力ではなく舌力であろうか。自分の記憶や意識の有り様が即存在を意味しないが、意識が働いている限りにおいて、ひとはそれを信じるしかなさそうである。


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2010年03月25日 20:51に投稿された記事のページです。

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