店へは出てきたものの、昨日は開店休業である。一昨夜、引越を早くするように依頼され、ちょっと無理を押してサドルを磨いた。それが理由で、身体が痛くて動かれない。moonさんに聞けば、彼も右肩が動かなくなって二、三週間痛みが続いたという。年を取るとはそういうことなのである。
今日の電話の用件はとmoonさんから訊かれ、「愚痴をいいたいのですよ」と応える。「よく分かる、近くにいればねえ」とmoonさん。人生から乙張がなくなり、愚痴っぽくなってくる。典型的な老人性症候群もしくは痴呆予備症候群である。耕衣の句に「天心にして脇見せり老の雁」とあるが、それを傍見に凡人の嘆き節が続いた。
このところ、困惑させられている。なににもまして引越のためには荷物を減らさなければならない。透析をはじめなければならないが、透析がはじまればますます荷物の整理が遅延する。病気のせいにはしたくないのだが、さまざまなことが一度に起きて、手に負えなくなってきている。六十三年分の垢を一気に拭えといわれても、ただただ放心するばかり・・・
ここまで書いてカウンターで寝てしまったようである。優しく肩を揺り動かす気配がして目覚めた。御礼を云おうとして回りを見回すも誰もいない。どこまでが夢だったのか。