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料理人   一考   

 

 某ホテルへ働きに行った友人から、あちらでは三種類の魚しか捌けず、勉強にならないと告げられた。河豚は出荷しなに歯をペンチで折るので危険はない。危険なのは鱧や虎魚である。子供のころ、鱧を下ろしていて柳刃で左手のひらを抜いたことがある。危うさはともかく、魚の種類は夥しい。そして骨の位置、下ろす塩梅もことごとく異なる。それは店で習うような種類の仕事ではない。
 わたしは板前をしていたころ、給料の大半を費やしてさまざまな魚を買っていた。下ろし方を学ぶためである。見習いが捌いた魚など売り物にならない。下勉強は隠れてするしかない。どのような割烹であれホテルの厨房であれ、直接習うものはたかがしれている。他は応用であって、それは自ら考案するしかない。自宅で包丁を持たない料理人もしくは焚き物をつくらない料理人を料理人とはいわない。労働時間外に文献を蒐め、日夜勉励に励まなくてはならない。外食で間に合わせる料理人など聞いたことがない。
 本当に彼が料理人になる気があるのかどうか、いささか心許なく思う。教わったことだけを繰り返してことたれりとするならそれは猿真似でしかない。なにごとによらず、環境は問題ではないとわたしは思う。


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2009年12月28日 21:16に投稿された記事のページです。

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