月曜日はまったく暇だった。週明けはそんなものだろうと思っていたので、一向にかまわないが。七月からこっち休みの方が多かったので、常連さんは他店へ流れている。以前いらした女性はメールを繁く出していた。わたしはまったく出さない、これでは客足が遠ざかるのは当たり前である。
新宿のナオさんは女を雇えとうるさくいう。雇うもなにも五年後には店主が臨終を迎える。後を継いでくださる人があればウィスキー込みでお願いしたいのだが、当ても何もない。よほど店主の人品に魅力がないものと思われる。それもこれも当掲示板のせいか。
六十過ぎのオジンに魅力があれば気味が悪いが、天本英世さんには不思議な魅力があった。文化出版局で何度かお会いし、山中湖のペンション・モーツアルトでもご一緒したが、さわやかな謎の怪老人だった。天皇制と、昭和天皇の戦争責任を追求してやまないラディカルな精神の持ち主で、彼のように老いたいものと願っていた。天本さんについては改めて書く機会もあろう。
閑中にやってきたのは税務署の督促状のみ。差し押さえをするとかで、勝手になんでも持ち出せばと思うが、開封されたウィスキーを差し押さえてどうするのであろうか。閉店している店に十日ごとに督促状が送られていたようである。健気といえば健気だが、払えないものは払えない。国税ゆえ払わずに済むものでないと分かっている。さて、どうする積りなのであろうか。