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蒐集   一考   

 

 街の本屋さんに新本屋と古本屋があるように、バーにも新しいボトルを専門とするところと旧いボトルを得意とするところがある。古本屋が哲学書、文芸書、理工学書、美術書、洋書などと派れるように、旧ボトルもディスティラリー・ボトルとボトラ−ズ・ボトルがあり、さらにさまざまなボトラーの系譜ごとに細かく分類される。
 ですぺらが目差してきたのは他店では飲まれないボトラ−ズ・ボトル。ボトリングから十年以上を経たボトルを中心とした品揃えだった。ニューボトルも少量は購入しているが、それらは十年後の開栓を目当てにしてのコレクションだった。そしてこの十年後という年月がですぺらから喪われることになった。跡を継ぐひとがいればともかく。
 ひとは蔵書であれなんであれ、コレクションを持っては死なれない。収蔵品というものは、亡くなったひと、所有者にとってのみ価値があるのであって、他人からすればただの塵に過ぎない。いろんな人の死に立ち会ってきて、その感は愈つよくなる。


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2009年09月28日 10:42に投稿された記事のページです。

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