漢字に関して苦言のメールがあった。食餌療法と書きたくないので、食事療法を用いている。この変遷に関しては主治医から既に聞かされている。
鏡花が豆腐を忌嫌い、豆府を用いたのはよく知られている、神戸で贔屓にした豆腐料理の店は豆富と表現していた。ちなみに、豆富は木版印刷の時代に遣われている。
わたしは漢字についてむづかしいことは云わない、通じればそれで良いと思っている。永田耕衣さんは造語の達人で、エディタースクール出身者による校正なら大半の文字が刎ねられてしまう。しかし、あの造語にこそ耕衣さんのひととなりが顕れている。談林の時代、およそ漢字は自由だった。遡れば、輸入品に満足せず、適宜国字を拵えてゆく器用さを持っていた。そこには文字に対する柔軟な日本人の特性が反映されている。岩波や筑摩の生真面目乃至唐変木な校正によって近年多くの漢字が修正され統一されてきた。なにごとによらず、そういう風潮をこそ危惧している。
追記
moonさんからメール到着、彼は食餌療法を用いている。個人の趣味にわたしは口を挟まない。それよりも、彼の自炊の記はおもしろい。そのうち紹介しようかと思う。