お見舞い金を頂戴した方のために在庫一本の貴重なウィスキーを開栓する。みなさんがお求めのアイラモルトである。事前に声をかけていただければ幸い。お一人様二杯まででお願いする。
今月のサービス品はポート・エレン75年蒸留、24年もの、43度、オーク樽、402本のリミテッド・エディション、シグナトリー社のミレニアム・エディションの一本である。売価は1600円、在庫は二本、売り切れるまでのサービス品である。
これからウィスキーの値は公表する。書き直した寡多録は順次掲載してゆく。他店と比較していただければ幸甚。より安い店があってもわたしは関与しない。
ザ・カスク・オブ・ヤマザキ '93(サントリー)※ 1900円
14年もの、62.0度のカスク・ストレングス。539本のリミテッド・エディション。
サントリー初のヘヴィリー・ピーテッド・モルト。熟成はパンチョン樽。カスク由来の甘味とスモーキーな香り、のびやかなフィニッシュ。
同時発売にシェリー・バット熟成のものがある。追って08年3月、白州のヘヴィリー・ピーテッドとボタコルタ熟成の二種がボトリングされる。
ザ・カスク・オブ・ハクシュウ '93(サントリー)※1800円
14年もの、58.0度のカスク・ストレングス。232本のリミテッド・エディション。樽違いあり。
白州のヘヴィリーピーテッド・モルト。ウッドタイプはホワイト・オーク、カスクタイプはバーボン樽を組み替えたホグスヘッド230リットルを用いる。
ロットが少ないので製麦業者(モルトスター)は決まっていないが、おそらくシンプソンと思われる。
山崎ほどの意外性はなく、やはり白州だと思わせる品のよさを持つ。青林檎のキャラクター。極めてドライ、なんの抵抗もなく、喉の奥にストンと落ちてゆく。この透明感は日本のウィスキーに総じて言えることであって、間違いなく水のせい。
ザ・カスク・オブ・ハクシュウ '93(サントリー)※ 1800円
14年もの、60.0度のカスク・ストレングス。571本のリミテッド・エディション。
白州のシェリーモルト。ウッドタイプはスパニッシュ・オーク、カスクタイプは480リットルのボタ・コルタ。
ボタ・コルタはバット樽と容量は同じだが寸が短い、逆に直径が大きいのである。従ってウィスキーとカスクの触れ合う面積が小さい。それだけ熟成がゆっくりなされる。十四年にしてはシェリー特有の渋味が少ない。甘酸っぱさが濃厚で微かな苦みがあり、フィニッシュはしっかりと伸びる。
ハクシュウ・ヘヴィリーピート(サントリー)※1800円
48度。
白州を構成するさまざまな原酒のなかから数種類のヘヴィリーピートをヴァッティング。国内外を併せて6000本のリミテッド・エディション。ザ・カスク・オブ・ハクシュウ '93のヘヴィリーピーテッド・モルトより美味いのは不思議。
アズ・ウィ・ゲット・イット8年(イアン・マクロード)1400円
オーク・カスクの8年もの、59.0度のカスク・ストレングス。中味はタリスカー。
アズ・ウィ・ゲット・イットの商標をイアン・マクロード社が買収、当初はスペイサイドのモルトをボトリングしていたが、最近はアイラ・モルト、それもラガヴーリンを専門にボトリングしている。
マクローズ '89(ハンジアティシィ)1400円
04年のボトリング。バーボン・カスクの14年もの。384本のリミテッド・エディション。中味はタリスカー。
ハンジアティシィはイアン・マクロードの独向け。他に85年蒸留の18年もの348本、86年蒸留の17年もの264本あり。
ヘブリディーズ '89(キングスバリー)1600円
02年のボトリング、18年もの。ホグスヘッドの46度。300本のリミテッド・エディション。中味はタリスカー。
タリスカー 57 ノース※1800円
57ノースという名前は、蒸留所のある緯度(北緯57度)と、イングリッシュプルーフ100度(57%)にちなんだもの。ヨーロッパの空港と北欧のフェリー船内専売の限定品。
タリスカー '92(ジャン・ボワイエ)2400円
07年のボトリング、15年もの。ワンショット・コレクションの一本、58.7度のカスク・ストレングス。
ハイランドパーク '78(サマローリ)2000円
78年蒸留、95年ボトリング。オーク・カスクの17年もの。45度、360本のリミテッド・エディション。
サマローリ社は1968年創業のイタリアブレア市にある酒商。スプリングバンク蒸留所、ボトラーのケイデンヘッド社とその子会社ダッシーズ社と太いパイプを持ち、オリジナルのヴァテッド・モルトも頒している。
同じイタリアの酒商インター・トレード社についてひとこと。インタートレード社は伊太利亜リミニ市のボトラー。オーナーのナディ・フィオリは当地に於ける業界の草分け。継続的にボトリングはしていないが、斬新なラベルとクオリティーの高さは特筆もの。生産量の少なさとカリスマ性によって、大半はコレクターズ・アイテムとなっている。同社のウィスキーはサマローリ社同様、檻が多く含まれるのが特徴。ディスティラリー・ボトルでは味わえない個々の樽の稟質、即ち微妙な持ち味を愉しめる。
ハイランドパーク '78(ボトラーズ)2600円
シェリー・カスクの18年もの、57.6度のカスク・ストレングス。
ザ・ボトラーズ社は1994年、エディンバラにて設立。同じエディンバラのジェームズ・マッカーサー社と共に、閉鎖された蒸留所の珍しいモルトを取り扱うことで識られる。コニャックを想わせる撫で肩の丸瓶とシンプルなラベルが特徴。同社の商品の大半はディスティラリー・コンディション。それ故、面白味には欠けるが、破綻のないのが取り柄。
アードベッグ・スーパーノヴァ※1800円
58.9度のディスティラリー・ボトル。
アードベッグ最強のフェノール値。
カリラ'95(インプレッシヴ)1400円
インプレッシヴ・カスクの一本。08年のボトリング、13年もの、60.4度のカスク・ストレングス。
インプレッシヴ・カスクはダンカン・テイラー社のボトル。
スプリングバンク10年※800円
ファースト・エディションは2000年春、バーボン・カスクの17年もの、46度のディスティラリー・ボトル。
スプリングバンク・ゴールドファウンダーズ(ロッホデール)1600円
08年12月発売の最終リリース。バーボン・カスクの17年もの、46度のミディアムボディ。
前回のブラック・ファウンダーズから8箇月、さらに熟成を経た17年ものとしてボトリング。過去二度ののボトルは年数の異なるバーボン樽とシェリー樽数種類のカスクをブレンドしていたが、前回からはエイジングを記載。本品はバーボン・カスクのみを用いる。
ストラスミル'92(ジェームズ・マッカーサー)1300円
オールド・マスターズの一本。03年のボトリング。11年もの、64.2度のカスク・ストレングスにしてシングル・カスク。