01 スプリングバンク・レッドファウンダーズ(ロッホデール)
アバディーンに事務所を構える新しいボトラー、ロッホデール社のファースト・リリースで1800本のリミテッド・エディション。46度のミディアムボディ。
オーナーのゴードンライトはスプリングバンク蒸留所の創業者の子孫で、マーレイ・マクデヴィッド社の関係者。同オーナーの記憶のなかにある60年代のスプリングバンクを再現すべく、年数の異なるバーボンとシェリー数種類のカスクをブレンド、クラシックなスプリングバンクの香味の再現に成功している。1990年前後のカスクを使用、発売は2002年。レッドファウンダーズとは仮の名で、ファウンダーズリザーヴと記載されている。
シトラス、蜂蜜、メロン等のリッチな香り。バーボンとシェリーカスクのコンビネーションからくる甘味と微かなバニラ香。すべてのクラシックなスプリングバンク同様、潮味の効いた長く繊細なフィニッシュを堪能できる。
02 スプリングバンク・ブルーファウンダーズ(ロッホデール)
ロッホデール社のセカンド・リリースで国内へは480本の入荷。46度のミディアムボディ。発売は2003年12月、本数は不明だが2006年2月に再入荷あり。
03 スプリングバンク・ブラックファウンダーズ(ロッホデール)
08年4月発売のサード・リリース。16年もの、46度のミディアムボディ。
前回のブルー・ファウンダーズから5年、これまではビンテージ、熟成年の記載がなかったが、今回はより熟成を経た16年ものとしてボトリング。エイジングが記載されているが、バーボンとシェリーカスクのコンビネーションはそのまま。
芳醇で甘く滑らかな味わい、フルーツ香とクリーミーなココナッツ、かすかなスモーキー・フレーバーガ織りなすクラシカルなスプリングバンク。
04 スプリングバンク・ゴールドファウンダーズ(ロッホデール)
08年12月発売の最終リリース。バーボン・カスクの17年もの、46度のミディアムボディ。
前回のブラック・ファウンダーズから8箇月、さらに熟成を経た17年ものとしてボトリング。過去二度ののボトルは年数の異なるバーボン樽とシェリー樽数種類のカスクをブレンドしていたが、前回からはエイジングを記載。本品はブラックファウンダーズとは異なり、バーボン・カスクのみを用いる。
1998年に蒸留された原酒が熟成される過程をボトリングしたアードベッグのベリーヤングからルネッサンスに至る四種のシリーズとよく似た愉しみ方が可能。最終リリースがバーボン・カスクなのはよく考えられている。
05 スプリングバンク '91(ロンバード)
ジュエル・オブ・スコットランドの一本。バーボン・カスクの10年もの、50度のプリファード・ストレングス。シングル・カスク。
以前の「ジュエル・オブ・各地域名」をリニューアル。ボトル形状はコニャックのそれに、地域ごとに色分けされたラベルの下部にカスク番号やテイスティングのコメントが付されている。同時頒布にモートラック90年蒸留の10年ものとローズバンク89年蒸留の12年ものがあり、すべてバーボンのシングル・カスク。チル・フィルターや着色は施されていない。
リニューアル後、最初のボトリングにしては問題あり。割水とウィスキーとが馴染んでおらず、水っぽく感じられる。舌先で香味が割れるようなちぐはぐな味わい。同時頒布のモートラックやローズバンクがまずまずの出来映えだけに残念。しかしながら、塩味は強烈、スプリングバンクの香味の幅を知るに絶好のモルト。
06 スプリングバンク(C.V)※
12年もの、46度のディスティラリー・ボトル。
個性的な甘さと深みのあるこくを控え目に、スプリングバンクのいまひとつの個性“Briny”(塩辛い)を強調。
間違いなく、アイラモルトに似たスプリングバンクの稟質にもっとも近いモルト・ウィスキーである。もともと同社は多面的な商品構成を社是とする。本品に先行するシェリーカスクの12年ものが持てはやされ、本品はさんざんな悪評を被る。CVが蒸留所の顔として位置づけられるのを嫌ったのか、敢えなく絶版。実験品としてコレクターズ・アイテムの仲間入りを果たした。
07 スプリングバンク12年(緑マーク)※
シェリー樽熟成、46度のディスティラリー・ボトル。
ディスティラリー・ボトルの12年と21年にみられる馥郁たる甘味は熟成に用いられるダーク・シェリー樽由来のもの。素顔のスプリングバンクはマル島やアイラ島のモルトの如く、オイリーなテキスチャー、ヨード香、塩辛さ等のキャラクターを内包する。決して口当たりのよいウィスキーではなく、強烈なパワーと複雑な香味を併せ持つ、類い稀なウィスキーなのである。タリスカー・アモロソを持ち出すまでもなく、スプリングバンクのような辛口かつシャープな酒質にこそ、シェリー樽が相応しい。ただし、ロイヤル・ロッホナガー・リザーヴ同様、本品も熟成に必要な樽の確保が困難になり、現在ではボトリングされていない。2000年前後に生産終了、2002年以降はとんでもない高値で取引されている。
08 ヘーゼルバーン '98(アルシェミスト)
オーク・カスクの8年もの、46度。2007年のボトリング。
1997年から生産がはじめられたスプリングバンク蒸留所の第三のシングルモルト。原料の麦芽にピートを焚き込まず、三回蒸留でつくられる。ローランドタイプのモルトを現代に蘇らせた。
09 ロングロウ '92 ※
スプリングバンクのセカンドラベル。オーク・カスクの10年もの、46度。2002年のボトリング。
特質は麦芽の乾燥にピートのみを用いる点。スプリングバンクの6時間に対して、55時間もピートを焚くといわれる。
湿った草や土の匂い、微かにシェリーの甘味、長くピーティーなフィニッシュ。塩辛く、口腔が沸き立つようなオイリーな後口。通好みのヘビーなモルト。
1973年から74年にかけて蒸留、85年より発売。ブランドはスプリングバンク蒸留 所に隣接していた蒸留所の名。同蒸留所は1896年に閉鎖され、現在ではスプリングバンク蒸留所の瓶詰工場になっている。
90年以降、年毎の生産量は増え、2000年からは定期的にボトリング。91年からはヴィンテージが記載されるようになった。しかるにヴィンテージは92年で終了、以降はオーク・カスクとシェリー・カスクのヴァテッド・モルトに統一された。10年もの以外ではシェリー・カスクの14年ものがあり、テキスト・ラベルのカスク・ストレングスがごくたまに頒されている。
ボトラーではキルシュ・インポート、サマローリ、ドリームス、マーレイ・マクデヴィッドからボトリングされているが、いずれも入手困難。
10 ロングロウ '89 ※
シェリー・バットの13年もの、53.2度のカスク・ストレングス。テキスト・ラベル2350本のリミテッド・エディション。
ロングロウのディスティラリー・ボトルにはブルー・ボックス、蒸留所の近影を写したラベル、テキスト・ラベルの三種がある。新しいところではブルー・ボックスが99年に、蒸留所ラベルが98年にボトリングされている。いずれも極めて入手がむずかしい。