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プルトニーの香味   一考   

 

 プルトニーは大ブリテン島の北の端、北海に面した港町ウィックの蒸留所。バランタインの主要モルトのため、ゴードン&マクファイル社の8年、15年ものが僅かに出回るのみだったが、95年に12年もののディスティラリー・ボトルが、次いで98年には15年ものカスク・ストレングスが頒された。
 「海風や磯の香、魚介や海藻の潮味等、塩辛さが織りなす極めてシンプルな辛口」と書いたが、これはディスティラリー・ボトル、ゴードン&マクファイル社のボトル双方について言えることで、まずゴードン&マクファイル社が香味を定め、ディスティラリー・ボトルがそれに倣ったというのが真相であろう。
 ところで、スコティッシュ・リキュール社のビーン・ア・チェオ、クレッグホーン社のワリゴー(共にプルトニー)はどちらも甘口である。ビーン・ア・チェオはカスク違いも試してみたが同じだった。「オキシフルに漬け込んだ海藻の匂いが顕著な辛口」といったイメージはどこを探してもみつからない。また、不思議なことにこの二種類のプルトニーは香味が似ている。
 ちなみに、前述のミレニアム・エディションの15年ものカスク・ストレングスは、すべてシェリー樽熟成のシングル・カスクである。ビーン・ア・チェオやワリゴーがシェリー・カスクだからというのは甘口の理由にならない。ウィックはロバート・スチーブンソンの生誕地である。ジョン・シルバーのラム酒の雰囲気すら漂わせていると書けば書きすぎであろうか。
 ゴードン&マクファイル社のマクファイルとマッカランのディスティラリー・ボトル、もしくはスピリット・オブ・スコットランド(ゴードン&マクファイル社)のアードベッグと現行のアードベッグのディスティラリー・ボトルを比較すればよく分かるように、ゴードン&マクファイル社は少々辛口に振る癖がある。私はその方が好きなのだが、プルトニーの場合は差違では済まされない。ここにも、ブレンダーのセンスひとつでウィスキーの味はどうにでも化けるとの典型例がある。おそらく、どちらの香味もプルトニーなのである。強調させる部分が異なっただけなのである。それにしてもどこをどうすればこのような落差が生じるのか、と思う。

 クレッグホーン社のボトルについて一言。オーキンドゥーはマクファイルズ・コレクションのタムドゥーと比して頗るフルーティー、「際立った個性はない」どころか、スペイサイド固有の蜂蜜ナッツや熟した果実、レーズンの香り、シェリー酒の風味が豊か、こくに奥行きがありオイリー、柔らかい甘味が残るフィニッシュが長く続く。要するに銘酒の一つである。現在ですぺらに在庫するのはオーキンドゥー(タムドゥー)、グレン・クェッチ(アバフェルディ)、ベルチャロン(ダルユーイン)、ワリゴー(プルトニー)の四種類。そして孰れもが美味である。発売は94年から95年、今から13年前である。その後、ワイン商に戻ったらしく、モルト・ウィスキーのボトリングはついぞ聞かない。早過ぎたボトラーとして惜しまれてならない。


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2008年08月26日 15:04に投稿された記事のページです。

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