黒豆枝豆といえば丹波篠山が名産地だが、私が引っ越してきた埼玉でも作っている。今日は群馬県赤城高原産の黒豆枝豆を見付けた。粒が大きくて莢に張りがあって旨そうである。おそらく他でも黒豆の生産に励んでいるに違いない。今日見掛けたものは早生品種であって、普通は九月から十月末までが食べ頃である。莢が黄色く変色し実が黒くなってきたものを私は好む。
東京へ来て枝豆の湯掻き方がひどいのに気付かされた。どうひどいかというと、ゆがきすぎである。枝豆をボールにとって塩揉みする。沸騰した湯のなかへ入れて四十秒以上はやめていただきたい。本当は二十秒から三十秒といいたいところだが、家庭だと鍋が小さいので湯の温度が下がる。逆に塩分濃度が上がれば沸点も上がる。それを差し引いての四十秒である。明治、大正期に出版された京都の料理書には十五秒と書かれたものもある。
それと湯掻いたあと、水にはつけないでいただきたい。熱いところへ塩を振って自然に冷ます。それだけで見違えるような枝豆が出来上る。