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事故其三   一考   

 

 「心配することも許されない」とちはらさんから叱られたので、主治医のところへ出掛けた。骨と靱帯に異常はなかったが、靱帯膜の損傷は十分に考えられる、だとするならば、骨折よりも時間が掛かることもあり得る、と脅された。さらに一週間ほど様子を見ないと軽々に判断は下せないが、打撲にしては少々痛みが過ぎるようである。
 山崎医師とは久しぶりで、2006年10月の偏頭痛事件以来である。あの時紹介された南浦和の映像フェチの医師は津々として興味は尽きない存在だった。当時、「編輯は偏執に通じる。従って、なにごとによらず偏ったものに興味がある。ただし、オタクであれマニアであれフェチであれ、パラノイアやモノマニアにとどまる限り、箸にも棒にも引っ掛からない。一つのことに異常な執着をもつのは結構だが、それが人格の荒廃をきたさなければ、なんのための固執であり妄想なのかと問い質したくなる。一度偏りはじめた障害者の行き先は餓鬼偏執しかない」と書いた。
 浦和の駅前の区画整理が終わり、路地奥にあった病院が四車線の公道に面している。改めて覧ると立派な建物であり、山崎医師が一層頼もしく思われた。主治医と常に書いているものの実体は押し掛け患者である。東京へ出てきてかつての主治医とはぐれ、困惑しているときに松友さんが紹介してくださった。都立病院で三度ほど手術を施していただいたが、腕は秀でている。私は医師であれ、物書きであれ、翻訳者であれ、料理人であれ、生業のいかんを問わず腕達者が好きである。ちなみに私は口達者である、そつがあって、抜け目があって、このようなデタラメな日本語を平気で用いる脆弱さを併せ持っている。来週、四年ぶりの健康診断をお願いしたが、彼のためにしかるべきモルト・ウィスキーを持参しなければならない。

 ところで、事故の当事者が判明した。隣の町内(笹目四丁目、拙宅は三丁目)の運送会社だった。早朝に警察から、さきほど運送会社から人が見えられて挨拶があった。運送会社であればなおのこと猛省を促したい、事情のいかんを問わず逃げるのはよろしくない。あとは保険会社との交渉であって、事務的に済むのは結構なはなしである。単車の修理費を一部負担していただければありがたいのだが、どうなるかは分からない。
 書いている最中に保険会社から連絡があって、どうやら修理してくれるようである。詳細は月曜日になるが、これはありがたい。

追記
 顛倒のあと、大型トレーラーの運転手と二人で散らかったバンパーやランプの残骸を道端へ片付けた。そうこうする内に、運転手の仲間が事故現場へ到着、発炎筒を焚いたりして後続車両を誘導していた。それとひとこと云っておきたいのは、深夜に道に黒い滲みがあったとしてそれがオイルだと誰が判断できるのか。気付いたときには既に単車は宙を舞っている。あのバイパスは国道であり、故意にオイルを撒いたとなれば立派な犯罪である。
 ぶつけた側の運送会社の人が「居眠り運転をしていて」と弁護していたが、まさか事故の後まで眠り続けていたわけではあるまいに。居眠り運転のまま、バイパスから離れて細い側道へハンドルを大きく切って逃げ出したとでもいうのかしら。今回は人命にかかわらない事故だからよいようなものの、しでかしたことの後始末ぐらいは自分でつけろと云いたくなる。昨今の日本人は不始末の後、まず遁走する、逃げてしまえばまるで現場が無くなるかのようである。福岡の事件を持ち出すまでもなく、機転が利かない人とわれわれは共生している。恐怖はすぐ隣に在る。


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2008年07月12日 13:43に投稿された記事のページです。

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