先日、あまねさんや土屋さんに誘われて酒を飲んだ。私は四時四十分に泥酔、そのまま車のなかで高鼾、その日の夕方まで死んだ振りをしていた。あえて書き置きたいのだが、気持のよい酒で久しぶりの天下太泰を決め込むことができた。またの小斟を庶幾する。
話していて改めて思ったのだが、何を読んだの、何を書いたの、何をしたいのと、みなさん自己顕示欲に駆られているとか。私の虚言癖はつとに知られるが、これはヒステリー的性格異常者に見られる空想性虚言症であって、人がそれを真似るのは怪しからぬはなしである。掲示板にせよ、ブログにせよ、控えるべきこと遠慮すべきことがある。プライヴェートに過ぎるのはいかがなものか、プライヴェートと肉声とはなんの関わりもない。もっとも書き込みが随筆としての体を成しておればその限りでないが。
意思、感情、思考をいま少し律するべきではなかろうか。律するを「ため(日舞などの用語)」との言葉を用いて警めてきたが、ひとさまの勝手な解釈の前では形無しである。昨今のそれは「吾落拓邪遊」に過ぎない。
比して金子國義さんの作品には圧縮され密度が高くなった締り雪のような緊迫感がただよっている。そして、あまねさんが金子さんの展覧会の案内状を持って来られた。今回は平凡社から上梓される「L'Elegance(金子國義の世界)」の出版記念を兼ねての展覧会と聞く。期間は七月九日から十五日、場所は伊勢丹新宿店本館五階のアートギャラリー、なお、日曜日の午後四時から五時はサイン会の予定とか。ただし、同会場で書冊お買いあげの方に限るそうな。私はミーハーなので、署名を頂戴しに日曜日に行く、みなさん挙ってのお出掛けを願う。