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柘榴口   一考   

 

 昨夜引用した文章についてひとこと。文中引用の仮名遣いには若干手を入れた。『銭湯新話』に於ける「風呂へはいる所」を「風呂へはひる所」の類いであって、これは校正をなさった方の見落しと思われる。その他、疑問に思われる箇所もあるが、間違いではないのでそのままにした。
 民俗学ないしは書誌学者には馴染めない文章の方が多い。その点、竹内利美氏の文章には花がある。「『幕末日本図絵』所収の」と「『日本遠征記』所載の」というように細かい気配りがなされている。重箱の隅を楊枝でほじくるのが書誌学であればこそ、文章には竹内氏のような細心の心遣いが必要である。

 お名前は伏せるが、昨夜ジュンク堂書店の方が見えられた。二十代半ばの女性だったが、柘榴口をご存じなので感心した。風呂六分湯四分とか風呂四分湯六分といって、柘榴口は出入口の引戸を垂壁式に変え、湯槽の湯を深くしたもので、風呂屋と湯屋の区別を一層曖昧にした。唐破風と共に江戸期銭湯の特徴といえよう。不衛生が理由で明治三十年頃には撤去され、やがて柘榴口の変わりにペンキによる風景壁画が誕生する。
 柘榴口に装けられた唐破風や千鳥破風、入母屋の妻に木連格子に懸魚や凝った彫物を施した書院造風、あるいは宮造りとか御殿造りとかいった柘榴口の装飾モティーフが再度花開くのは、売春防止法が施行された昭和三十三年以降の浮世風呂(今のソープランド)であった。


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2008年04月09日 12:40に投稿された記事のページです。

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