「さくら さくら さくらが咲いた くらい くらい お蔵に咲いた」は便宜的に閉じたもので、元は「さくら さくら さくらがさいた くらい くらい おくらにさいた 」です。そのアナグラムから「おにがいた」を読み解いたのんちさんに感服。「さくら」の「くら」と「くらい」の「くら」を掛け合わせたものですが、はなしはそこで止まりません。さすがのんちさんですね。
かような言葉遊びは中井英夫や相澤啓三さんにとっては日常のものでした。例えば、「幻戯」のなかにもそうしたアナグラムが秘められています。一握りの詩人や歌人、俳人はアナロジーとアナグラムを駆使します。入沢康夫さんもその一人です。だからこそ、「それにしても、相澤さんの詩を誰が読み解くのか。彼の失意の深さを知る」と書いたのです。