文鳥堂書店赤坂店で新刊雑誌を購入していた。同書店は昔、私が造る本をよく売ってくださった。その御礼を兼ねて訪ねたのだが、コーベブックスや南柯書局の本を扱っていたのは先代らしく、ひとしきり思い出話に花が咲いた。やがて文鳥堂書店赤坂店は閉鎖、東京ランダムウォーク赤坂店で雑誌を購入することにした。共に点数は少ないが、商品構成には目を瞠らせるものがあった。
私は新本を買わないので、申し訳なく思いつつも、赤坂のような街に斯様な書店が在ることを誇らしく思っていた。ところが、ですぺら閉店後の2007年7月20日、東京ランダムウォーク赤坂店も閉店となった。
先日、「嗜み」を買おうとして赤坂の書店を歩いた。書物に対して慈愛を抱く書店主はどこへ消え去ったのか。ひとは先を急いではいけない。居た堪らなくなったときこそ、自らの席に執心しなければならない。例え、それが破滅への途だと分かっていても。