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無用のひと   一考   

 

 ですぺら引越の折、AGEのマダムから新宿への移転を強く薦められた。理由は痛いほど解っていた。だからこそ、新宿界隈の店舗を重点的に探した。しかし、いい物件に当たらなかった。家賃の安いところはやはり赤坂で見付かった。これ以上、私にできることはなにもない。
 昨夜はAGEで酒を飲んだ。ほぼ泥酔である。ちはらさんは私が泣き出すのではないかと心配したようである。べつに泣き出しても不思議はない。それだけの付き合いをしてきた。彼女と私を引き合わせた三枝和子さんは2003年4月24日に逝った。彼女が薫陶を受けた埴谷雄高が亡くなったのは1997年2月19日、遺品の一部はAGEのバックバーに飾られている。
 どうやら、世の中は必要とされるひとで満ちあふれているようである。必要とされるひとは泥酔などしない。シラケ鳥が群れをなして飛び交うと飲屋街では閑古鳥が鳴く。疾風怒濤の時代は遠くに去り、櫛風沐雨は記憶の襞から滑り落ちてゆく。共に、後になにを残そうというのか。生きるに証しはいらない。われら無用のひと。


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2008年04月01日 23:53に投稿された記事のページです。

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