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モルト会解説   一考   

 

ですぺらモルト会(端境期のボウモアを飲む)

01 ボウモア12年※
 40度の旧ディスティラリー・ボトル。
 ラベンダー、ヘザー、ハニー、カラント等々、綺羅を競う香気とスモーキー・フレーバーやピート香との微妙なバランスは謎とされ、喧(かまびす)しい好事家の糧になっている。フィニッシュは穏やかな辛口。
 蒸留釜コンデンサーの冷却方式を昔通りに改めたのが90年初頭、それから12年を経た2002年に新しいボトルが頒布された。本品はそれ以前のプリントラベルのボトル。正確には1993年初期のボトルである。
 2002年9月現在の並行ものが旧ボトルと同じボトルで頒されている。飲めば分かるが見た目だけでは識別が不可能、将来ややこしくなりそうである。

02 ボウモア '89(ロンバード)
 ジュエル・オブ・アイラの一本。10年もの、65.3度のカスク・ストレングス。
 ディスティラリー・ボトルのカスク・ストレングスほど過激ではないが、本品もサーフ系。欧州ではこちらのボウモアが人気筋。ペルノ、バスティスト、アニゼットに親しむお国柄である。強い香りが好まれるのは当然。
 ディスティラリー・ボトルと飲み比べるのも一興。

03 ボウモア '89(クライズデール)
 9年もの、58.7度のカスク・ストレングス。限定306本のシングル・カスク。
 昨今のボウモアの一部商品はベンゾイン系の化粧品臭に汚染されているのではないかと思うくらい、香りのベクトルが強い。ところが、独立ボトラーのそれにはレジェンド系のモルトが多く販売され、かかる異臭があまり見受けられない。ミルロイ社のボウモアと共に当ボトルもお薦めの品。
 同じレジェンド系にイアン・マクロード社のチーフタンズやダグラス・マクギボン社のプロヴァナンスがある。共にアフター・テイストに爽やかな甘味。
 ちなみに、セレクト系の香味を持つものに、マーレイ・マクデヴィッド社やドナート社のダン・イーディアンのボウモアがある。化粧品臭が残るものの、頗るシンプルな味わい。

04 ボウモア '89(ブラッックアダー)
 ロウ・カスクの一本。オーク・バレルの11年もの、64.0度のカスク・ストレングス。限定265本のシングル・カスク。
 ダグラス・レイン社のオールド・モルト・カスク、ハート・ブラザーズ社のファイネスト・コレクション、ウイルソン&モーガン社のバレル・セレクションの香味はレジェンドとセレクトのちょうど真ん中。至って飲みやすく、まずまずの及第点。共にバーボン・カスク特有のパワフルな味わいが身上。
 ただし、ハート・ブラザーズ社のカスク・セレクションやヴィンテージ・コレクションなど、長期熟成のモルトはダンカン・テイラー社の提供になるものが多い。従って、スコッチ・モルト・ウィスキー・ソサエティ同様、セレクト系すなわちコスメティックな香味が強い。

05 ボウモア・ダスク※
 14年もの、50度のディスティラリー・ボトル。
 本品は珍しいクラレットによる熟成。コスメティックな香りは幾分和らぎ、その代わり、京都の麩饅頭のような苦みが後口に残る。好感の持てる苦みなのだが、それが渋みでないのが不思議、樽のなせる魔術の一種。
 いまなお並行輸入されているが、本品は1990年代のボトリング。

06 ボウモア・カスク※
 56.0度の旧カスク・ストレングス。
 龍涎香、麝香、安息香等、ベンゾイン系の癖の強いエキゾチックな芳香と珈琲リキュールの甘い香り、消化不良を起こしかねない矯激なディスティラリー・ボトル。
 2002年9月現在の並行ものが旧ボトルと同じプリントラベルのボトルで頒されている。飲めば分かるが見た目だけでは識別不可。将来混乱しそうである。本品は1993年初期のボトリング。

07 ボウモア・ドーン※
 51.5度のカスク・ストレングス。ルビー・ポート・フィニッシュのディスティラリー・ボトル。
 ボヤージュの姉妹酒。バーボン・カスクで12年、ポート・カスクで2年の熟成。
サントリーはボウモアを五種類に限定したが、その五種以外のボトルはいまなお不定期に並行輸入されている。ダーケスト、ダスク、ドーン、ボヤージュはボヤージュを除いて安価で提供されている。本品は1990年代のボトリング。

08 ボウモア・ボヤージュ※
 56度のカスク・ストレングスにしてディスティラリー・ボトル。
 本品はポート・ウッドを熟成に用いたリミテッド・エディション、ボトリングは1990年代。他にドーンと名付けられたルビー・ポート・フィニッシュのボトルがある。

09 ボウモア '89※
 バーボン・カスクの16年もの、51.8度のカスク・ストレングスにしてディスティラリー・ボトル。
 サントリーがボウモア蒸留所を買い取る前年のボトル。現行の香味に近いものを選択。90年蒸留のシェリー・カスク、91年蒸留のポート・カスクと続く三部作の初回作品。
 新しいと言うよりは、かつてのボウモアの香味が甦った記念すべき一本。今後、ボウモアの中身は順次新しいモルトに切り替えられて行く。

10 ボウモア21年※
 43度のディスティラリー・ボトル。
 更なる上級酒に25年、30年、38年等がある。本品の購入は1993年、従って蒸留は72年以前になる。

11 ボウモア '73(キングスバリー)
 キングスバリー社は倫敦に本社を持つ酒商。本品はリフィール・バーボン樽の25年もの、46度のシングル・カスク。
 ミディアム・ピートやスモーキー・フレーバーの香り、沃素のキャラクター等、73年ものだけに安心。シグナトリー社の74年蒸留23年ものカスク・ストレングスやジョン・ミルロイ社のボトルと同様に、こしかたのボウモアの味を愉しむことが出来る。

12 ボウモア '82(ダンカン・テイラー)
 ピアレス・シリーズの一本。オーク・カスクの24年もの、51.5度のカスク・ストレングス。165本のリミテッド・エディション。
 旧カスク・ストレングスにまさるとも劣らないパヒューム香。思うに、コスメティックな香りがもっとも強いのは80年代のボウモアか。


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2008年03月22日 14:17に投稿された記事のページです。

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