これで五日連続で税務署から苦言を呈されている。領収書を探し出して打ち込みを済ませ、金銭出納帳がやっと合った。その結果六十五万円の赤字、というよりも現金の欠損となった。損金は帳簿上許されないらしく、事業主からの借入金にしなさいといわれた。私が私に出資するのはやぶさかでない、十億でも百億でも融通したい。ところが、二通ある預金通帳の残高は五十七円と二百三十円である。税務申告とは虚偽を書き記すものかと疑念を挿みたくなる。
失念による付け落ちは当然あるだろう。しかし、偽りの申告は過去試みたことがない。売上は伝票通りであって、わずか十数万円の差で消費税の支払いに苦しめられたこともある。私は信条的には非国民だが、だからこそ義務は果たす。発言の自由を守りたいからである。発言の自由がそこまでしなければならないものかどうか、国家・国体に寇なすことを著したひとにしか分かってもらえない。
他方、さまざまなひとから援助を受けている。その助勢が貯まりたまっての六十五万円なのかもしれない。だとすれば、その金数も個別に収入として申告しなければならないのだろうか。好意や思慕を帳簿に記述するがごとき無礼を私は働きたくない。そこには公開を阻む、個としてのぎりぎり譲られない信倚があると信じたい。