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ウィスキー二題   一考   

 

 ブレッヒン(BALLECHIN)
 エドラダワー蒸留所のセカンドラベル。蒸留は2002年、ボトリングは2006年、4年もの46度。900本のリミテッド・エディションで、日本向けの輸出量は270本。
 2002年に同蒸留所へ赴任した元ラフロイグの蒸留所長、イアン・ヘンダーソンの試みになる。PitlochryにあったBallechin蒸留所(1817-1927)の名前をエドラダワーが取得して復活。50ppm以上のフェノールを含んだ大麦麦芽を使用。ピートの度合いはラフロイグ蒸留所のそれよりも深い。熟成には九種の樽を用い、46%に加水調整。九種とはバーボン、バーガンディー・赤、バーガンディー・白、オロロソシェリー、ポート、クラレット、ソーテルヌ、マデイラ、マンサニーリャ。熟成の過程を見ながら五〜九年の間に順次ボトリング。当ボトルはバーガンディーの赤で熟成されたもの。バーガンディーをフィニッシュに用いたモルト・ウィスキーにグレン・モーレンジがあるが、本品はフィニッシュにではなく熟成に用いる。
 ブルゴーニュはコートドールのバリックと呼ばれるオーク樽に由来する複雑な香味と書けば簡単だが、バーガンディー自体が私にははじめての経験なので、どこまでがウィスキーの香味で、どこからがカスクの影響なのかが定かでない。シグナトリー社が買収してからのエドラダワーの壮大なカスク実験に私は反対である。自己主張の強いウィスキーにさらなるカスクの主張を加えてどうなるというのか。ブレッヒンにしても、最初のボトリングはバーボン樽にしてほしかった。
 エドラダワーが持つパヒューム香は淡い、バニラ香と蜂蜜の甘さを伴うブーケが強く感じられる。アーモンド、シナモン、ナツメグなどのニュアンスと共に薬品臭が漂う、この薬品臭は間違いなくピート香である。ボディは厚く、ココアパウダーもしくは胡瓜のへたのような苦みが感じられる。4年ものにしては後熟は丁寧になされているが、先日飲んだ白州のすっきりした後味はどこにもない。新しいタイプと書けばそれまでだが、ピート香とクリーミーな舌触りとがアンバランス。不味くはないが、奇妙な味である。どうやら、ブレッヒンに馴れるにはいささか時間が掛かりそうである。

クラガンモア・カスクストレングス
 蒸留は1993年、ボトリングは2004年、10年もの60.1度。カスクはBodega European Oak(シェリー)、15000本のリミテッド・エディション。
 こちらはケイデンヘッドやダグラス・レインでお馴染みなので、書くまでもない。ディアジオ・モエ・ヘネシー社によると、最初は香りが閉じられている。熟成年とアルコール度数を感じさせない柔らかさを持つ。コーヒーやビターチョコレート、グレインや皮、マディラ酒などの香りがある。加水(一滴水を垂らす)すると、スモーキーさからウッディな芳香へ、さらにナッツ系の香りへと変化してゆく。ハーブやスパイス(月桂樹・胡椒の実・ナツメグ等)のキャラクターも内包している。このような暗示がありながらも、少し解りにくく、控えめで複雑な味わい、となる。
 スペシャル・エディションとして10年、14年、17年ものが頒されている。


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2008年01月31日 23:39に投稿された記事のページです。

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