レイアウトが崩れる方・右メニューが表示されない方: >>シンプル・レイアウトへ

« 車通勤 | メイン | ウィスキー二題 »

白州シングルモルト   一考   

 

 朝の九時から一八時まで歩詰である、とは言っても中休みもあった。白州のシングルモルト25年とヘヴィリー・ピーテッド1993、スパニッシュ・オーク・ボタコルタ1993の試飲会をなかに挿んだのである。東京會舘でチーフブレンダーの輿水精一さんと白州蒸留所工場長の前村久さんとはじめて会った。小柄だが、成一家ひとだけに眼光が鋭い。輿水さんはグラスの脚を持たない、腹を鷲掴みである。脚を持ってグラスを回転させる、あの為種が私は我慢がならない。ワインであれコニャックであれ、なぜに気取ってみせるのか、酒の温度にそこまで過敏になるのなら酒の種類にさらなる気遣いをしろと言いたくなる。味の分からぬひとほど、奇矯な振る舞いに及ぶものである。マッカランの試飲会のときは前列が全員、親指と人差し指でグラスの脚を持ってぐるぐる回していた、興が薄れたのは私だけではあるまい。また、加水とはわずかに一滴、二滴であって、それ以上であっては困る。トワイス・アップのようにアルコール度数が変わるほど水を入れるのは水割りであって加水とは言わない。今回はよい勉強をさせていただいた。
 白州のヘヴィリー・ピーテッド1993はバーボン樽を組み替えたホグスヘッド230リットルを用いる。14年もの、カスク・ストレングスである。前回の山崎と比してボディが厚くなく、白州特有の青林檎のキャラクターが強いので、繊細なヘヴィリー・ピーテッドといったところ。
 スパニッシュ・オーク・ボタコルタ1993は480リットルのカスク。パンチョンと同型で、バットと比してずんぐりしている。甘酸っぱさが濃厚で微かな苦みがあって、フィニッシュはしっかりと伸びる。このボタコルタを私は気に入った。
 原材料の大麦麦芽はスコットランドから調達しているが、ロットが少ないので製麦業者(モルトスター)は決めていないとのこと。シンプソン、モーレイなどにレシピを渡して遣り繰りしているとのことだった。ちなみに、ピートの度合いは各蒸留所で厳格に決められている。
 1ppm マッカラン蒸留所
 35ppm ラガヴーリン蒸留所、ラフロイグ蒸留所
 55ppm アードベッグ蒸留所
 キルン(乾燥塔)の屋根にあるパコダ型の煙突はスコットランドも日本も蒸留所を象徴する飾りであって、ピートの煙を吐き出すパコダはバルヴェニー、ベンリアック、ハイランドパーク、ボウモア、ラフロイグ、スプリングバンクなどごく限られている。

 東京駅まで田中屋の栗林さんと同道、進捗しないコニャックの原稿について話し合う。アーリー・ランテッドに力を入れましょうとお願いをして別れた。


←次の記事
「ウィスキー二題」 
前の記事→
 「車通勤」

ですぺら掲示板2.0トップページへ戻る

このページについて...

2008年01月30日 21:13に投稿された記事のページです。

次の記事←
ウィスキー二題

前の記事→
車通勤

他にも
  • メインページ
  • アーカイブページ

  • も見てください。

    アーカイブ

    ケータイで見るなら...


    Google
    別ウィンドウ(orタブ)開きます。

    牛込櫻会館(掲示板1.0他)内
    ですぺらHP(掲示板2.0他)内
    Powered by
    Movable Type 3.34