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目耕   一考   

 

 高遠さんご紹介の針聞書を面白く読んだ。いつも佳きご教示を受け感謝する。肺積(はいしゃく)はお気に入りで、虫の特徴、治療法として「鼻は肺の穴である。善悪の臭いが嫌いで、生臭い香りが好き。辛いものが好き。この虫がいると常に悲しい気持ちになる。針は柔らかく浅く打つとよい」と記されている。「鼻は肺の穴」はタルホを連想させ、私などは「悲しい気持ち」に留意する。きっと私のなかにも棲息しているに違いない。
 針聞書は検索していただくとして、このような文章を読むと目耕の虫が疼きはじめる。目耕は眼底に巣食う虫で、美醜の臭いに過敏。体は細長く、尾端に二本の尾角と一本の尾毛がある。体は銀白色の鱗におおわれ、長い触角をもつ。数ある虫のなかでスーパー学歴を誇るのはこやつのみ。ネクラで厭人癖があり、寄生するにひとを撰ぶ。貪慾な食欲で排泄物が目脂となって流れ出る。地方によっては蠹魚とも。
 さて、針聞書に出てくる生薬について一言。事前に断わっておくが以下は甘草の丸呑みである。

木香(もっこう)
インド北部原産のキク科トウヒレン属の多年草の根を乾かした生薬。芳香と著しい苦味があり健胃剤、かつては衣服の賦香、防香にも用いた。唐木香とも。

白朮(びゃくじゅつ)
中国中部原産のキク科オケラ属植物の根茎の周皮をはぎ除いた生薬。健胃、整腸、利尿、止汗薬。屠蘇散にも用いる。蒼朮とも。

縮砂(しゅくしゃ)
ショウガ科の多年草で東南アジア原産。花穂は濃紅色で地下茎から別に生じる。種子には芳香があり、精油部を含み芳香のある白花をつける。健胃剤などに用いる。日本には安政年間以前に輸入、伊豆縮砂はハナミョウガ、ゲットウ、アオノクマタケランの種子で同じく芳香性健胃剤とする。ほざきしゃが、東京縮砂。唐縮砂。ジンジャーとも。

阿魏(あぎ)
セリ科の多年草。イラン・アフガニスタン地方原産の薬用植物。根から得た樹脂を固めた生薬。駆虫、去痰、通経剤などに用いる。そらしとも。

我朮(がじゅつ)
ショウガ科ウコン属の多年草でヒマラヤ東部、インド北東部原産の薬用植物。肥厚した根茎を乾燥したものを芳香性健胃剤として用いる。胃痛、消化不良、腹満、腹痛、嘔吐のみならず、通経剤としても使用する。鹿児島県熊毛郡上屋久町は我朮の栽培で知られる。

大黄(だいおう)
タデ科の多年草で中国華北の原産。根茎は黄色で肥厚し、その外皮を除き乾燥させたものを緩下剤・抗菌剤として用いる。また消炎、解毒作用があり、はれものや湿疹などに外用される。ディオスコリデスの「薬物誌」に記載あり。古来、中国からヨーロッパへと輸出された数少ない生薬の一。

呉茱萸(ごしゅゆ)
ミカン科の落葉小高木で中国中南部原産。果実は香気と辛みがある。鎮痛、健胃、止瀉、駆虫作用があって、頭痛、腹痛、嘔吐、冷え症などの治療に用いる。川薑(かわはじかみ)とも。

車前子(しゃぜんし)
大葉子(おおばこ)科の多年草。生薬では種子を車前子、全草を車前草という。古くから知られる民間薬。去痰、鎮痛、下痢止め、止血剤として用い、膀胱結石、月経過多、眼病などの治療にも。ただし、目耕の虫には効果なし。人によって踏み固められた所に生えるので路上植物と称され、繁殖域は高山帯にまで達しているが、人に踏み付けられないと自然に消滅する。

甘草(かんぞう)
マメ科の多年草で中国北部に自生。根は赤褐色で甘根もしくは甘草と呼び、特殊の甘味をもつ。乾燥させて矯味、緩和、鎮咳、去痰薬として用い、消化器の潰瘍などにも有効。漢方では多用され、丸薬基剤の他、甘草湯、葛根湯などに処方される。あまき、あまくさとも。


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2008年01月12日 19:58に投稿された記事のページです。

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