気温が十度を下がるとバイクのエンジンがかからなくなる。昔のバイクはストロークが長いので排気量に関係なく、始動性がよろしくない。もっとも、現在乗っているのは小型バイクなので、押しがけは苦にならない。速度が二十キロほどになるまで車を押してクラッチを入れるとエンジンはかかる。この場合、ギアはサードへ入れておく。従って、押しがけはキャブレター方式かつマニュアルトランスミッションを搭載した車両に限られる。
日々、行きしなと帰りにはこの儀式を繰り返している。これが大排気量だとそうはいかない。まず二十キロでは始動しない、三十キロは必要である。それとクラッチミートの際に後輪がロックしそうになるのを振り切るだけの力が必要となる。BMWやハーレーを押しがけするには相応の体力が必要とされる。この体力が歳と共に衰えてくる。勝井隆則さんではないが、「青息、吐息、風の息」ならぬ虫の息となる。
歳には触れたくないのだが、このところ生心を伴わないことが多くなってきた。今年は寒さが意気を消沈させる。そのような時は部屋を暖めればよいのだが、布団を被ってくぐもっているばかりである。