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もったいないお化け   一考   

 

 使えるものは再利用するとの方針が裏目に出た。ガス漏れと水洩れに泣かされ、施設すべての撤去を余儀なくされた。スケルトンに戻す工事が繰り返され、不要な費用が発生した。取り壊しに追われる日々だったが、今日はじめて内装に入り、カウンターの土台になるブロック積みが完成。明日はガス管や水道管が撤去され、明後日はカウンター内部の基部へコンクリートを流し込む作業がはじまる。23日までに基礎工事を済ませたいのだが。
 私への割り当ては天井の研摩と壁面のニス止めである。前の店では未処理のままだったが、お客の身になると必要な作業である。

 工事費を捻出すべく、永田耕衣の句集を手放すことにした。かつて、自ら装訂した書物を手放した後、銀花から取材があって困惑させられた。そこで、必要なときは写真を撮らせていただこうと思い、知己で買ってくださる方がいないかと二三当たってみた。しかし、数万円ならともかく数十万円となると東京には買い手がいない。やはり古書は古書店に売るしか手立てがないようである。余談だが、私は新刊書店へは行かない、金がないからである。たとえ新本であっても古書店で求める。それだと現金払いでなく、後日まとめての勘定付けが可能だからである。どちらに顛んだところで、私は古書店からは逃れられない。
 神保町のT書店によると、永田耕衣の「加古」は三度、「猫の足」(限定五部)は一度扱ったが、最稀少の「傲霜」は一度も扱っていない、況や特装二部の「傲霜」は見たこともないとのことだった。私自身が三部、五部、十部といった特装本を多く手掛けてきたこともあって、一部の古書店とはいまなお懇意にしているが、稀本は売却にも難儀させられる。これが荷風の腕くらべ私家版とか谷崎の細雪私家版なら右から左なのだが。


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2007年09月19日 22:03に投稿された記事のページです。

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