昔、自動車教習所ではない自動車練習所が明石市中朝霧丘1-19にあった。中央自動車と称し、わたしがさまざまな車の練習をしたところである。最初の普通免許と普通自動二輪は山形の新庄第一自動車学校で同時取得した。東京からの合宿免許でもっとも安いところだった。合宿所は喜至楼、瀬見温泉の旅館でイワナ、ヤマメ、サクラマス、アユなどの渓流釣りで有名なところである。とんでもなくレトロな宿で、合宿生は4人部屋、当たり前だが、風呂もトイレも共同、湯沸かしポットと有料の洗濯機以外なにもなかった。食事は明けても暮れてもカレーライスの繰り返し。もっとも、バイクの度重なる顛倒で両脚は腫れ上がり、寝る以外なにも出来なかったが。
前述の明石の練習所だが、本職は自動車整備工場で、片手間で大型、普通、けん引、大特、大型自動二輪を時間貸しで運転できた。実技が免除にならないので値は安く、大型で40分2000円だったと記憶する。だいたい20単位ほど練習すれば大概の試験には受かった。場所は明石市立大蔵中学校の裏、徒歩2、3分で明石運転免許試験場である。利点は試験場と同じ車種をレンタルできたこと。
試験場が傍にあれば、高い金を出して教習所へ通う必要はまったくない。日々眺めておれば3種類あるコースは覚えてしまうからである。明石の友人の多くは中央自動車を利用して大型もしくは大自二を飛び込みで取っていた。
先日、その中央自動車へ行ったものの高木マンションになってい、練習コースと思しき辺りにも家が建っている。毎日自動車商会の川口さんに訊ねたところ、どうやら廃業したようである。半生の一コマがまた・・・このようにして諸事万端は記憶に鎖されてゆく。