「鉄分」でヘモグロビン値が12.7(平均値は13.5〜17.5)へ戻ったと書いた。2009年10月、川久保病院での21単位の輸血にはじまった貧血だが、丸5年を経てやっと収まったようである。その間に今一度危機に瀕したときがあった。昨年2月の13単位の輸血である。
貧血が収まって嬉しいことがいくつかある。車の運転やプラットホームからの顚落もさることながら、わたしが大書したいのは入浴である。入浴中に失神すればほぼ溺れて死ぬ。現に「ヤバイ」と思って裸で風呂から膝行り出たことが何度もあった。そうした気遣いなく、ゆるりと風呂へ這入られるのは歓しい、欣快の至りとはこのことか。
全身にこびり付いた血を洗い落とすため、看護師に付き添われて入浴したことを思いだす。身体が生気を失ったときの惨めさは筆舌に尽くしがたい。あのような状態だけは繰り返したくない。なんとか二桁のヘモグロビン値を守り続けたいのだが。