移植はHLA( Human Leukecyte Antigen:ヒト白血球抗原 )が完全に合致しなければならないが、免疫抑制剤の発達によって6座すべてが合致しなくても移植に踏み切るケースが増えてきた。だからこそ、「experimental 」な治療とまでは云えないのだろうが、それは免疫抑制剤に潤沢な費用を遣えることが前提である。この消息は骨髄移植でも同じだが、腎臓と違ってHLA間の合致はさらに厳密に求められる。要するに、骨髄移植の場合は「experimental 」な治療だったと云えるのである。マイケル・ブレッカーを持ち出すまでもなく、多くのミュージシャンが、また近くは横須賀さんが造血幹細胞移植を経て白血病で亡くなった。
それら移植は結果だけをみて失敗とも成功とも云えないところが難しい。ただ、移植であれ癌であれ、保険診療で間に合っているうちは軽微な病と云えようか。問題は保険診療の場を離れてからである。一概にはいえないが、癌に於ける延命治療は大方が保険外診療となる。数百万から数千万の金が瞬く間に消えてゆく。
国民皆保険は市の特定検診、市の指定医療機関による定期予防接種と法定外予防接種、例えば肺炎予防球菌ワクチンなどで役に立っている。しかし、いざ病気になると保険治療はほとんど役に立たない。役に立つと思い込んでいるのは健常者だけであろうか。