ヒューガルデンホワイトの瓶詰めを久しぶりに飲んだ。ですぺらを開店した際にわが国ではじめてヒューガルデンホワイトの樽生を置いた。西明石のような田舎では評判がよろしくなく、最初に旨いと誉めてくださったのは故太田さんと松友さんだった。同樽生は季節によって香味が変わる。その良いかげんなところが堪らない。日本の金太郎飴がごとき、品質の管理がすみずみにまで行き届いていない。酵母が生きていればこそなのだが、そこが白耳義麦酒の楽しみ方のひとつ。特に酸味と甘味の絶妙のバランスには舌を巻くの他なかった。
ヒューガルデンは一時期米国資本になったと聞いたが、朝日ビールが取り扱う現在では生産は白耳義になっている。随分と苦み走った香味になり、日本人向けに改造されている。日本のメーカーが代理店になると酒の味は必ず変わる。香味に五月蠅かった太田さんなら、バッカスが宰る飲豪の煉獄でぎょろ目を剥いて居るに違いない。