元々の腎臓であろうが移植された腎臓であろうが同じことで、腎臓の病はことごとくが不可逆である。もっか移植腎の拒絶反応によって腎臓と抗体とが闘っているが、この闘いはまさに末期腎不全の進行そのものであって、闘いのあとは焼け野原となる。腎臓は片端から壊死し、罹災を免れた部位の機能のみが僅かに残される。
月曜日の血液検査でクレアチニンがわずかに下がって2.2、はじめての朗報である。朗報とは云え、癒ったわけではなく、また癒るわけでもない。壊死する部分が多少なりとも減ったということに過ぎない。
2.2で止まれば、2.2の腎機能しかあとに残らない。医師によれば1.7乃至1.6ぐらいまでの腎機能の復帰を希望するようだが、それは既に望むべくもない。
抗体には二種あるそうだが、どのように異なるのか詳細は審らかにしない。この闘いはあと一週間ほどつづくのだそうである。数パーセントにせよ機能が残り、自炊生活が叶うのか、それとも緩慢に透析へ戻ることになるのか、それとも一気に人口透析に戻ることになるのか。医師によると、最後はなかろうが、徐々に透析へ戻る可能性はまだ残されている、と。いずれにせよ、透析時代と同じ水準の食事制限が間違いなくつづく、あとに残るのは荒漠たる腎臓のむくろ。
如何に抗体とは申せ、新たな腎不全がここまで急速に悪化しようとは。移植腎を目前に、ドナーに対し済まなきことのみ多かりき。(10月8日)