もっかリハビリに力を入れているが、二十歳前後で脳卒中や脳梗塞に苦しんでいる人が多いのに愕いている。ボールを床に投げて戻ってくるボールを受ける練習をしている。キャッチボールみたいな書き方だが、ボールの移動距離は10センチ足らず、そのボールが受け止められないのである。ボールの動きに身体がついてゆかない。注視していると頭が震えて静止していない、当然視線も定まらない。即、手脚にも震えが生じている。頭部切開の大きな手術跡のある人もいる。
脳出血すなわち突然の脳血管障害によって意識障害や運動麻痺をきたすわけだが、横でみていて大変である。療法士が寄り添い、多くの患者は身体を揺すられている。揺すられて動くのであって、自力では動かれない。そのような状況を眺めていると済まなく思う、わたしは自分の意志によって可動しているからである。痼疾などと書いたが、比してわたしの病は軽微なものだと思い知る。
美人の療法士に揺すられて老人が股間を膨らませている、と書けば顰蹙を買うだろうか。わたしはそうは思わない。これも立派なリハビリになっている。おそらく納得ずくの能力恢復に違いない。