羽前長崎でボルボ850を受け取り福島へと思うが、バッテリーが上がっている。エンジンはかけられるがイグニッションスイッチを切るわけに行かない。切れば切ったところで動かれなくなる。これでは福島はおろか、どこへも行かれない。暫し迷ったが結局三郷へ戻ることにした。ボルボの車検を取る、もしくはバッテリーを取替えればいつでも福島へ行ける。
それやこれやで果敢無い旅に終わったようだが、思い切って出掛けたというだけで楽しかった。福島山形県境に点在する葡萄畑が記憶に残る。扇状地の中上部に位置し、かつ斜度が30度から45度くらいの斜面にぶどう棚が設けられている。日当たり、水はけ、風通しを考慮した結果であろうが、この辺りの葡萄の着色はどうなのであろうか。
実は南会津大内宿の高遠蕎麦を食べに行こうと思っていた。高遠蕎麦は一風変わった食べ方で識られる。冷たい汁蕎麦なのだが、箸の代わりに添えられた長葱で食べる。つまり、葱で蕎麦をたぐり、蕎麦を食べつつ葱を囓るのである。会津に長野伊那高遠の蕎麦がある理由は、兵庫の出石同様領知替えである。
ちなみに、大内は「おおち」と読み、歴史的仮名遣いでは「おほち」あるいは「あふち」と表記していたが、いつしか標準語風に「おおうち」と読むようになった。
それにしても、帰りの高速道路は至るところが東北大震災の影響下にあって修復中である。福島の除染はほとんどが手付かずのまま、この先どうなることやら。
ボルボはよく走る。国産のターボ車はドッカンパワーが売りだが、ボルボのそれは優しい。低い回転数からでも十分過給がかかるような小さなターボを使って最大トルク発生回転数を低く設定している。扱いやすい車でターボラグはまったく感じさせない。とは申せ、日常使用領域のドライバビリティは確実に向上されている。BMWと同じく、メーター通りの速度が出る。
前の持ち主がヘッドライトをHIDへ換装、足回りはショックアブソーバーおよび純正ホイールを17インチに取換えている。インテークマニホールドもしくはマフラーをステンレス製に換えるだけでかなり個性的な走りになるだろう。