先日テレビで北海道旭岳の天女の湯が紹介されていた。吹きの湯と共に、冬場スキーでしか行かれない野湯である。軍手、ヘルメット、ロープが必需品という難儀な温泉である。
天女の湯は元々は秘湯でなかった。旭岳ロープウェイは1996年にスイスガラベンダの大型ロープウェイに架け替えられ、その際に中間駅天女ヶ原が廃止になった。天女の湯が秘湯になったのはそれ以降である。かつての中間駅から徒歩数分、吹きの湯は天女の湯から5、6分ほど離れた沢違いにあった。いまでは山麓駅もしくは姿見駅方面から徒歩で行くしかないが、道は掻き消され北海道の自然のなかに溶け込んでしまった。
多雪期以外、熊出没注意、落石注意、崖崩注意、雪崩注意、多量降雨水量増加注意等々、注意報多発の天女ヶ原である。熊の冬眠期以外、迂闊に近寄られない文字通り幻の秘湯となった。