入院患者のうち、ふたりが昨日戻ってきた。当然なのだが、透析患者は常に死と隣り合わせである。回りの患者が次から次へと倒れてゆく。過剰な除水で血圧が降下し、下呂を吐き、痙攣を起こし、気を失う。
今日は戸田中央からの用事があって女房を連れて東葛クリニックへ行った。ちょうど朝の部と準夜の部の入れ替え時でごった返していた。半分が車椅子、半分は跛を引きながら列をなす。異所性石灰化によって、透析患者はまず脚の自由を喪う。惨憺たる状況に彼女は愕いて口をあんぐり。一度この光景を見、記憶に残してほしかった。彼女にはちょいと酷すぎたかもしれない。
戸田中央の検査入院が明年一月十二日から二週間と決まった。彼女は十九日から一週間。移植手術は三月上旬、一箇月の入院である。共に入院なので誓約書が必要。書面には支払い責任者と連帯保証人双方の書名押捺が必要である。幹郎さんにお願いするつもりだが、支払い責任者を頼むとさすがの幹郎さんも怒るであろう。よって連帯保証人を依頼する予定。連帯ゆえ、結果は同じことなのだが。
十二月中に大腸の癌ならびにポリープ(違いは大きさだけである)の除去と憩室の洗浄を済ませるようにと云われた。その手術が可能かどうかを確かめに東葛クリニックへ行ったのである。わたしの予定は二日の入院、無理を承知のはなしだが、なんとかなりそうである。
さらに重大なはなしがあって、煙草を止めなければならない。頻繁にニコチン検査があるそうで、禁煙が叶わない場合は移植を諦める、どちらかを選択してくれと強く云われた。禁酒はなんとかなったが、禁煙はきつい。しかし守るほかなさそうである。