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日乾し   一考   

 

 血液検査に異常なしなどと繰り返し書いているが、実は至難の業である。透析患者で異常がないのは百人か二百人にひとりだろうか。とんでもない食事制限を試みているのである。
 透析患者の楽しみは飲食に収斂される。例えば旅をしたいと云っても、行った先で腹一杯飲んで喰ってが結句となる。水分が何ミリリットルと常に計算しながらの飲食がどれほどの苦痛を伴うかは経験した者にしか分からない。透析生活が数年に及ぶと一日の飲食の総量が一リットルから一、五リットルに制限される。その場合、水として飲まれるのは二百ミリリットルを切る。食事の度に二十、三十と計算しながら口を湿らせることになる。結果、身体は潤いを失い小さくなって乾涸らびてゆく。
 除水は一日置き、四時間で最大三、二リットルまでである。そして摂取量を一日一リットルで収めるのは現実的でない、おそらく不可能である。健康なひとは一日二リットル以上の水を飲み、同量の食事をしている。二日で八リットルである。
 ドライウェイト(除水後の体重)を決めるのは心胸比と血圧である。血中水分が増えれば血圧が上がり、心胸比が高くなる。心胸比が高まれば肺水腫になり、呼吸不全や心不全に陥る。健康であれば尿の排泄によって余分な水分を除去し、翻っては血圧を低く保つ。その尿の排泄がまったくできなくなるのが慢性腎不全である。
 素人には難しいことが分からないのでドライウェイトを基準に考えるしかない。除水が過ぎれば血圧の急激な低下を招き、全身の痙攣や失神に至る。それを防ごうと思えば自分の身体に適した除水率を守るしかない。わたしの場合は二リットル以下である。逆算すれば一日一リットルとなる。
 一日一リットルだと小振りの弁当一食分と水を五百ミリ(わたしは食事を削って水の量を増やしている)である。その一食分の食事を二回に振り分けて食べている。肉じゃが、おでん、すき焼き、なにを食べようが一日百四十グラムまでである。パンならマーガリンを塗るので五十グラムにしている。かてて加えてリン、カリウム、ナトリウム、カルシウムと五月蝿い条件が付帯する。
 わたしは自力で五百ほどの尿がまだ出ている。従って除水は二日で一リットルで済んでいるが、こちらは時間の問題である。たまにもう少し食べたいと思うこともある。肉一切れ、豆腐ひと欠けと思うが、そこへ足を踏み入れると際限がなくなる。そのような時は多量の煙草で誤魔化してきた。その煙草を止めろと云われてもっか困惑しているのである。


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2011年12月12日 04:58に投稿された記事のページです。

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