禁煙は口が淋しくなる、と云うことは自動的に食欲が増える。煙草を止めると太るとよく云う。他方、摂取量は押さえなければならない。そこに問題があって解決策はない。
そもそも、止めようとの積極的な意志を持たずに、何となくはじめた禁煙である。東葛クリニックの栄養士はあなたなら意志力がありそうなので止められると云う、しかしわたしに意志力はない。
某医院の女医が喘息らしく喫煙者の横に行くと発作が起きそうになると云う。また免疫上問題があって禁煙しないと移植手術は行わないともいう。前者は医師の我が儘だし、後者は移植を担保にとった恫喝でないかと思う。わたしは他人から脅されて行動の制約を受けるのは不愉快である。禁煙が要請であればともかく、命令であればいっそ移植を諦めても良いとすら思う。
そのようなことを書いているのも、苛ついている証拠である。わたしが見事だと思うのは木村さんである。彼はある日突然ではなく、徐々に、消え入るように止めてしまった。禁煙の理想形だと思っている。