わたしの時代のBB(ボトムブラケット)はカップアンドコーン型で、シマノ、スギノ、カンパニョーロの三種の工具(ロックリング、ピン、ボトムブラケット)があればサンツアーを含め、大概のBBの分解ができた。カップアンドコーン型は分解、洗浄及びグリース注入が自由にでき、未だにもっともすぐれた方式と思っている。
最近ではクランクの軸がクランクと一体になり、ベアリングとカップのみのパーツがBBユニットとして切り離されているものが多い。また昔はストロングライトしかなかったが、昨今はシールドベアリングガ多勢を占めるようになってきた。そして、イクスターナルBBのアダプター(16切込み)のごとく、工具もさまざまに変化してきた。
車のホイールのテーパー角同様、ボトムブラケットのテーパー角度も異なり、スクエアテーパー(シマノ系)、スクエアテーパー(カンパニョーロ系)、オクタリンク、ISIS、パワースプラインなど様々な規格が存在する。
シェル幅は68、70、73とあり、ネジ山のピッチはISO、JIS、BSC規格とITA規格の2種類があり、ワンの左右のネジ切りも異なる。さすがに、ボトムブラケットを加工したことはないが、自転車にはさまざまなネジが用いられてい、細かなネジは自分で造ってきた。そのためのタップやダイスも小型のものは取りそろえている。
今回二十年ぶりに自転車を組み立てて思ったのは、新しいパーツは手持ちの工具では間に合わないと云うこと。長く自転車のメカニックを担当してきたが、こちらもそろそろ引退のようである。酒も同じで、特にワインなどは日々飲んでいないと香味の変遷が分からなくなる。ひとは何を一所懸命覚えようが、所詮は時代の子でしかない。与えられたある時代の局部を知るの他、為す術はない。