川上さんと話していて気付いたことがある。今回の東日本大震災で被害を受けたのは東北であって、東京都内はほんの僅かな被害だった。神戸の震災については何度か書いたので繰り返さない。ただ、倒壊したのは灘区の高速道路だけではない。高取から月見山を経て名谷に至る高速道路も倒壊。新幹線が地上に出るのは伊川谷だが、そこから西明石までの橋桁はほとんどが落下した。私鉄が動き出すのに阪急は地震発生から146日、神戸高速鉄道は208日もかかりました。地下鉄は上部が落下して地面に大きな穴が開き、建物は新築のビルを引っくるめて次々と倒壊した。倒れたビルが国道、県道を塞ぎ、中心部はまったく歩かれない。倒れないまでも、大型の冷蔵庫、タンス、食器棚、テレビが室内を飛び跳ね、壁が抜けたり屋外へ飛び出した。
おそらく、東京での最大の被害は、都内から自宅に帰られなかった人が約三百万人に上ったこと。震度五強の被害とはその程度のものである。震度が一違うとエネルギーは千五百倍異なると云う。とすると今回の二十三区内の搖れのエネルギーは神戸のそれの三千分の一になる。
東京電力がまとめた三月の電力需要実績によると、管内(関東七都県と静岡県東部、山梨県)の産業用大口需要は五十四億キロワット時で前年に比べ17.6パーセント減。震災と計画停電により激減した。一方で、全体の三分の一を占める家庭用は八十九億キロワット時と3.5パーセント増えている。二十三区に限るなら、増加率はさらに多い。東京人にとって地震は他人事というのがこのようなところにも表れている。
追記
五人の死者が出たのは残念である。ただ、論旨と異なるので敢えて触れなかった。申し訳ない。