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地ソース   一考   

 

 2008年08月06日に「ばらソース」を挙げた。文中「神戸の文化はウスターソースによって支えられてきた」と書いた。ロンドンの北西部180キロほどのイングランド中央部、ウスターシャー州の州都ウスター市で初めてつくられたため、地名をとって「ウスターソース」と呼ばれるようになった。しかし、日本のウスターソースは名こそ同じだが、独特の香味を持ち、原材料もイギリスのリーペリン・ソースなどとはまったく異なる。どちらかと云えば、フランス料理に使われるブラウンソースに近いものと思われる。なぜなら、わが国では揚げ物などに多量にかけて食すのに対し、イギリスではシチューやスープなどの隠し味としてごぃ少量用いられる。
 現存する最古のソースメーカーである神戸の阪神(日の出)ソース(神戸市東灘区)は、創業者である安井敬七郎が1885年に開発販売した。他にも、オリバーソース(神戸市中央区)、ブラザーソース(神戸市兵庫区)、プリンセスソース(神戸市灘区)、タカラソース(神戸市東灘区)、ばらソース(神戸市長田区)、ニッポンソース(神戸市西区)があり、近隣ではワンダフルソース(尼崎市)、七星ソース(伊丹市)、ドリームソース(明石市)、メイジョーソース(揖保郡太子町)、ミツバソース(たつの市新宮町)などがある。ばらソースと共に神戸のお好み焼きソースを二分してきた二見ソース(神戸市長田区)も忘れられない。震災と大手メーカーの安売り競争に押されて廃業したのは残念である。
 オリバーソースには「どろソース ハバネロ・ライム」との商品があって、じっくりと熟成させたウスターモルトの沈殿を世界一ホットな唐辛子ハバネロと爽やかなライムジュースでさらに過激に磨き上げた超辛口の濃縮ソース。ドリームソースは明石のお好み焼き屋を代表する激辛どろソースで、「ドリームNO.1ステーキソース」も販売している。プリンセスソースはコロッケや串カツに相応しいソースで、それぞれが個々のテリトリーを守っている。子供のころはそれらのソースを使い分けて味わっていた。お好み焼きの地域差すなわち個性を楽しむとは取りも直さず、地ソースの違いを楽しむことだった。
 渋谷の中華料理店「一品香」の焼きそばをはじめ、とんかつの渋谷「蓬莱亭」なども地ソース「ハチ公ソース」で有名になった。わたしは詳細を存じ上げないが、東京にも二十社ほどの地ソースメーカーがあると聞く。前述したように、大手メーカーの安売り競争に押されて地ソースメーカーが減ってゆく。廉ければなんでも良いとの昨今の消費者の精神の貧しさを嘆く。


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2011年05月11日 16:57に投稿された記事のページです。

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