食肉加工業者から焼肉酒家えびすに卸された十四頭の牛に廃用牛が含まれていたようである。廃用牛とは出産を繰り返し、子牛が産めなくなった雌の経産牛のこと。肉質が硬く、独得の臭みがあって、ハンバーグやカレーなどの加工食品、レトルト食品の原料などに使われる。
トリミングや歩留まりが問題になっているが、例えば、河豚の肝の歩留まりは五パーセントほど。回りの毛細血管をそこまで削り落とし、残った芯の部分を薄切りして十分な流水(河豚一匹に水一斗と云われる)に晒す。歩留まりが五パーセントでは商売にならず、大方は二十、三十パーセントの肝を販売、死者が相次いで販売禁止になってしまった。ユッケも河豚の肝と同一の道を歩むようである。
ちなみに、某食肉加工業者はネット上では「交雑種/外モモ/B2です。赤身率が高くユッケやロースで使用できます」として販売、焼肉酒家えびすへは和牛として売っていたようである。それらは詐欺商法に当たる。廃用牛は再肥育して1キロ500円程度。グラム換算で50円の肉をトリミングしなければ280円売りで利益は十分出る。河豚同様、安売りが逆に自分の首を絞めることになろうとは。わたしに云わせると、280円のユッケを求める客も同罪と思う。
関西系の安価な焼肉屋では叙々苑が知られているが、同店のユッケは1400円。わたしはこれ以下の値段のユッケは食べないことにしている。