朝の部ははじめてなので勝手が異なる、まるで新入生である。労働者は夜の部、家庭の主婦は朝の部と聞いていたが、とにかく女性が多い。ピーチクパーチクと五月蠅いことこの上ない。三分の二は婆さんである。しかも糖尿症でない方を探すのに一苦労する。糖尿というのは食に好き嫌いを持つ男性の病かと思っていたが、逆だった。見ていて穿刺が大変である。通常のシャントと違って人工血管や動脈を筋肉の上へ追い上げたものなど、さまざまな腕、血管のオンパレードである。糖尿は血管を脆くするが、ここまでかと愕かされた。あの人たちの食生活はどうなっているのだろうか。横の婆さんは生茶を飲んでクッキーを食べている、なにを考えているのだろうか。
第五グループなので、二度目の停電があって三時間の透析になるなと思っていたが、午後の停電は休止、無事に終了する。看護師、技師がさかんに目で合図を送る。「あなたは理想的な患者だから」と呟きつつ、最初に穿刺をしてくださる。夜の部では最後だが、朝の部ではトップバッターである。
地震以来、はじめてスーパーへ行く。酢と辛子を買いに行ったのだが、序でにひとわたり見回す。米、水、牛乳、玉子、インスタントラーメンは在庫しているが、一品もしくは二本限定となっている。その後、百均へ行く、欲しかったポケットティッシュが売っていた。松戸のガソリンスタンドもすべて閉まっている。わたしの車はあと四回赤坂を往復できるが、そのあとはどうなるのだろうか。