体調が良いあいだに身辺整理をはじめなければならない。一番の問題はですぺらと病院である。まず、ですぺらを年内に処理するつもり。赤坂店は2000年3月24日の開店だったので、十一年間の赤字におさらばすることになる。この十一年どうも非合理的な金の遣い方をしたようである。出版といい、飲み屋といい、わたしはおよそ商売に向いていない、分かっていてこの為体である。
出版はとんでもない赤字を抱えたが、飲み屋の方も似たようなものである。なにもしないのが一番金を遣わない。生活費だけならなんとでもなる。神戸へ帰るのは気が進まなかったが、病気になると致し方ない。
松戸のクリニックは気に入っている。最新の器械を使っているので心置きなく透析を受けていられる。最近はこちらから細かく指示できるようになった。やっと馴れたかなと思っているのに残念である。神戸に良いクリニックがあればよいのだが。
チュニジア、エジプトについでリビアが騒然としている。イエメン、ヨルダン、シリア、パレスチナ自治区、スーダン、アルジェリア、バーレーン、サウジアラビア、イランと連鎖反応はつづく。君主乃至は独裁者がいなくなるのは良いが、個々の欲が絡んで無政府状態に陥る。もっとも、共和制とは一種の無政府状態だとわたしは思っている。ただし、病人になるとそれは困る。特に透析の場合、休みなしなので周章てるのは身体である。チュニジアやエジプトの透析患者はどうしているのだろうか。満足な透析など受けられはしまい。
腹膜透析はエジプトのミイラ造りに端を発するが、今日の腹腔穿刺法は17世紀の腹水症治療と同じ原理、方法で行われている。1744年、Stephen Halesは赤ワインを用いた持続的腹腔洗浄法を発明したが、赤ワインにより腹膜は繊維化し腹腔は閉塞したという。赤ワインの生体適合性が極めて低かったのが理由である。キリスト教徒ならではの試みだったと云えようか。