レイアウトが崩れる方・右メニューが表示されない方: >>シンプル・レイアウトへ

« マナー2 | メイン | マナーとは »

>マナー   山崎利彦   

 

御無沙汰しております。良い透析先が見付かった様子で、取り敢えずは安堵しております。
さて、感染症予防に関しまして「マナー」として御記述がありましたので、「制度」としての投稿をさせて頂きます。
「マナー」としてのマスクの着用に関しましては一考さんの御指摘の通り、日本人は外国人(欧米人に限らず)と比較して極めて敏感です。新型インフルエンザ騒ぎの際に、成田空港に到着した外国人達が大層驚いていたと云うのは何度か報道もされています。これは多くのワイドショー等で多くのコメンテーターが推奨していた事にも原因はありますが、それ以上に元々「花粉症」の有病率が高く、多くの国民がマスクの着用に馴れていた事も原因ではないでしょうか?インフルエンザはウイルス性疾患ですので、本来マスクでの予防効果は市販の物では低く、「N-95(浮遊粉塵等の95%以上の除去効果がある物)」以上の性能を有し、かつゴーグルと手袋を併用、頻繁に使い捨てて手洗いとうがいを積極的に行う必要があります。実際に手荒いやうがいを行う一般市民を殆ど目にしませんので、マスクのみが流行するのはこうした背景があるのではないでしょうか?
 では、マスクは全く無効であるかと云うと、逆の立場では有効です。即ち、自分から他人に伝染させない効果です。呼吸器感染症の多くは「飛沫感染」で、咳きに伴う「しぶき」に多くの病原体が含まれています。これは通常のマスクでブロック出来ますので、他人への配慮としては有効です。実際、医療従事者が患者さんの前で咳きをしまくると、患者さんは相当不安に成ると思います。欧米人も、「自分が重度の感染症を発症した時は」マスクを着用します。逆に、診療の際に直接飛沫を浴びる可能性が高い医療従事者の場合は、N-95以上のレベルのマスク+ゴーグル、場合によってはガウン着用+手袋に成り、その頻度や程度により増減します。因に私のクリニックではマスクと手袋は支給して、着用は本人の自覚に任せています。
 STD(性行為感染症:性病と云う表現は性病予防法の範疇の疾患との混乱を防ぐ意味で最近私達はあまり使いません)の検査ですが、「マナーとして」はあくまでも「私的検診」の扱いに成りますので、保険診療では行えません。自覚症状があった、又はパートナーが有病者である場合にのみ可能と云う事に成ります(混合診療の是非に付いてはこの場では敢えて触れません。必要であれば御呈示下さい)。ある程度の侵襲的処置(手術等)を伴う医療行為の場合には、梅毒反応、ウイルス性肝炎(B型とC型)は保険適応がありますが、その後は算定不能です。HIVに関しましても施行は可能ですが、その際は患者さんの同意が必要です。北里で書面を要求されたのは同意を得た旨の証拠が必要だからです。従って、透析期間中に定期的にSTDやHIVの検査を行うのは、検査料金として医療機関が全て負担する場合を除くと不可能です。別の医療機関で新たに手術その他を行う場合は、当然初診扱いに成りますので、再度検査が可能ですから、術前検査として行っています。
 以上、あくまで「制度」の問題なのですが、保険診療を行う以上、制度に外れた請求を行うと医療機関か患者さんのどちらかが莫大な負担をしなければ成りませんので少々解説致しました。


←次の記事
「マナーとは」 
前の記事→
 「マナー2」

ですぺら掲示板2.0トップページへ戻る

このページについて...

2011年01月17日 13:05に投稿された記事のページです。

次の記事←
マナーとは

前の記事→
マナー2

他にも
  • メインページ
  • アーカイブページ

  • も見てください。

    アーカイブ

    ケータイで見るなら...


    Google
    別ウィンドウ(orタブ)開きます。

    牛込櫻会館(掲示板1.0他)内
    ですぺらHP(掲示板2.0他)内
    Powered by
    Movable Type 3.34