店をお手伝い下さっている素天堂さんを昨夜お送りした。方向は西、わたしにはもっとも不案内な場所である。ナビはついているが、アンテナが機能していないので役に立たない。隅田川がどうの橋がどうのといわれても、ちんぷんかんぷんである。神戸か明石ならどのように細い道であっても精通している。しかし、東京西方は鳥瞰図すら引かれない。左右どちらの車線を走ればよいのかすら分からない。何キロ先であれ、次が右折か左折かが分わかっていないと直進もおぼつかない。事故の大半は信号周辺で起こる、そして信号周辺は車線変更禁止である。それやこれやで素天堂さんにはすっかり迷惑をお掛けした。申し訳なく思っている。
初日と二日目は松葉杖を使わなかった。それが災いして右足首が腫れあがった。初日は本当は九時に店を閉めたかった。それほどに痛みが酷かったのである。三日目からは松葉杖を用いたが、それでもなお腫れは引かない。湿布を施したちはらさんから大目玉を頂戴したが、老いてからの骨折は大変だと気付かされた。
話序でに、中学校を卒業したときに身長は170センチだった。十五年前に腎結石で明石市民病院へ入院したときが169センチ、都立豊島病院へ入院したときが168センチ、それが今回の入院で166センチになっていた。腎不全のせいで、カルシウムが下りてこないので骨粗鬆症になっている。医師によるとまだまだ小さくなってゆくそうである。MRIを撮ったときに脳がスカスカになっているのに気付かされたが、背骨までが萎縮している。そうやって、やがて存在は形迹なく消えてゆく。