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人工透析   一考   

 

 CTスキャンが終わり、専門医と話し合った。腎機能は結石に関係なく加速度的に悪くなって行く。恢復の見込みはまったくなく、明日はじまるかも知れぬ透析を延ばしても三箇月先、半年先には必ずやって来る。これからは今までにもまして貧血と不整脈に頻繁に襲われるようになる。そのあいだに足の方を癒さなければ。
 少しでも生きながらえるには薬物療法と食事療法しかなく、栄養士の講義を受けるのは必須と云われた。調理師が栄養士の講義を受けるとは、果敢無いはなしである。今思うに、関節痛は腎機能の低下が理由、腎臓からのビタミンDの補給がないのでカルシウムが摂取されず、この一年で骨が極端に弱くなっているそうな。山崎医師の口添えもあって二十二日夕刻の退院許可が出た。骨折の方は月末にギブスの装着が決まった。

 知らない街や自然を見聞きし、バイクで駈けめぐり、北海道の見知らぬ大地の匂いに噎せた日々を想い起こす。小水の魚となったいまも、雨とともに、風とともにあった幾多の野営場が頭のなかをよぎる。わたしはなんという贅沢を味わってきたのだろうかと。深夜の病院のラウンジで幹郎さんの真似をしてデミタス珈琲をゆっくり啜る。ささやかな自由、そしてささやかな苦味が激痛のように口のなかを刺す。なぜか涙が濫れだしてとまらない。(22日)


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2009年07月22日 21:44に投稿された記事のページです。

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