ここ二週間関節痛に泣かされている。冬場にバイクに乗るときに利用しているサポーターを膝に巻いているが一向によくならない。蟹股と書くとわかるとおり、わたしの大腿骨はひどく外側に捻じれている。不良が自分を強く見せるためにわざと足を拡げて歩く、その癖がもたらす痛みではないかと思っている。
小学生の折、六甲山へハイキングに行った、ひょっとしたら、摩耶山か再度山だったかもしれない。後方を歩く女子たちがくすくす嗤っている。振り返るとわたしの足の間から向こうの景色が見えるという。風通しがいいんだよ、と云った記憶があるが、後から作られた記憶なのかもしれない。ただ小さいときからわたしは間違いなくがに股だった。十四歳で観た「太陽がいっぱい」に出てくる貧乏な若者トムがやはりがに股で、爾来アラン・ドロンのファンになった。
さるひとに云わせると運動不足だそうだが、そう単純なものではあるまい。変形性関節症は中高年者のみならず、若いころ激しいスポーツを続けていた人も罹るようである。とりあえず、バイクに跨がるたびに「痛いの いたいの 跳んでいけ」と呪いをとなえている。「針聞書」にいうコセウに魅入られたようである。