日本で造られるビールはビアホールで飲む樽生ビールであれ、家庭で飲む瓶ビールであれ罐ビールであれ、中味は同じである。さらに申せば、生ビールもラガービールも同じものである。そもそも日本に生ビールはほとんど存在しない。酵母菌をミクロフィルターで除去し、熱処理していないとの理由だけで生と称している(最近出回っている無濾過・チルドタイプの生ビールを除く)。
そこでメーカーは売るために涙ぐましい努力をする。同じビールになんらの差違を設けようとするのである。今回、サントリーはボトル・ドラフトという樽生ビールに近い味わいを実現する器材を開発した。営業マンのはなしによると、管が突き出てきてプシュっとガスをひとふき、それだけで泡立ちが異なるようである。仕掛けは面白そうだし、かかる玩具がわたしは大好きである。理屈は抜きにして、瞞されることにした。七月一日からザ・プレミアム・モルツを置く。