「嗜み」三号はインポーターのエイコーンを取上げる。先日、幹郎さんの取材が済んだ。エイコーンの蔦さんから「先方のご期待に添えたかは わかりませんが・・・」とのメールがあって、いまいち噛み合わなかったような気がしないでもない。「リヴェット系」との蔦さんの言葉に幹郎さんはちょいと引っ掛かったようだが、リヴェット系はシーグラム系に置き換えて問題ないと思う。グレン・リヴェット、グレン・グラント、ブレイヴァル(ブレイズ・オブ・グレンリヴェット)、ストラスアイラ、グレンキース、ロングモーン、ベンリアック、アルタナベーン、キャパドニック等、シーバス・ブラザーズ社が所有していた蒸留所は実に旨いモルトを造っていた。シーグラムの売却後、閉鎖された蒸留所、売却された蒸留所など消息はさまざまだが、もったいないことをしたものである。
温厚なひとほど人見知りするものである。これは幹郎さんのことではない、蔦さんのことである。幹郎さんをして温厚とは口が裂けても言えない冗談である。温厚とくれば篤実である。他への思いやりより悪意と嘲笑が優先されなければ詩は書かれない。一方、蔦さんは外国で長くワインの勉強をしてきた、いわば酒のプロである。香味にいささかの狂いもないが、ラベルのデザインが良くないとの悪口ぐらいは幹郎さんのことだから言ったに違いない。いずれにせよ、四号から舞台はスコットランドへ移る。
私は口先だけの人間で、分かったような話をしているが、海外旅行の経験はまったくない。私のいう海外とは北海道であり、四国であり、淡路島であり、小豆島なのである。要するにパスポートを必要とする旅行には行ったことがない。先日も客がアイラ島のどこそこの岬が風光明媚でと話すものだから、数え切れないほどアイラへは行っているが、何時も霧でなにも見えません、大体があの辺りは霧が深くて・・・と見てきたような嘘をつく。そんな私だからボトラーではダグラス・レインとイアン・マクロード、蒸留所ならブナハーヴンかバルヴィニーが良いのではと言いはするものの当てにされては困るのである。ここは一番、土屋守さんにお出まし願うしかない。
先日、幹郎さんからフランス土産にボウモアとダルモアのニュースピリットをいただいた。今週のモルト会で試飲していただこうと思っている。