ゴードン&マクファイル社のコニッサーズチョイスからローズバンク91年が頒された。アメリカンオークのリフィールシェリー、17年、43度の加水タイプ。参考価格は6909円だが、ほぼ二年ぶりの四桁の売価である。大手ボトラーはさすがに値が下がってきたようだが、小規模なボトラーは為替の差額を超える値上げをしている。このままでは売れなくなるとの危機感を一部の酒屋が抱くようになった。当然である。
ロッホデールのスプリングバンク・ゴールドファウンダーズが昨年末に頒された。同シリーズの四回目で最終リリースである。前回のブラック・ファウンダーズから8箇月、さらに熟成を経た17年ものとしてボトリング。過去二度ののボトルは年数の異なるバーボン樽とシェリー樽数種類のカスクをブレンドしていたが、前回からはエイジングを記載。本品の特徴はバーボン・カスクのみを用いたところにある。
クラガンモアのカスク・ストレングスは10年ものがボデガ・ユーロピアン・オーク、17年ものがリフィール・アメリカンオーク・ホグスヘッド、29年ものがアメリカンオークのリフィルを用いている。ゴールドファウンダーズもカスクの不必要な影響を排したというところか。同様の配慮はロングモーンにもいえる。ロングモーンのオフィシャル・ボトルはひどく不味いが、ウィスキー・エクスチェンジのリージョンズ・ウイスキーの一本はバーボン・カスクである。従って、カスク由来の妙な癖がなく、オフィシャルと比して随分と旨い。
さて、拙宅にファウンダーズ・シリーズが一本ずつ取り置いている。今月のモルト会はそれを中心に据えるつもりである。二年前に「六十年代のスプリングバンクを飲む」とのモルト会を催した。今ではそれぞれが六、七万円はする。仕入れだけで八十万円を超える。もう二度とあのようなモルト会はできない。しかし、一本だけ隠し球を用意している。期待に添えるものと思っている。