「是が非でも」と云った覚悟は疾うに私の人生にはない。ああ生きたい、こう生きたいという思いは十代のときに棄てた。生きるところ万端がかりそめであり、ゆきずりと思っている。そして、少しでも楽しいゆきずりであってほしいと願う。
人の死亡率は百パーセント、それは分かっているのだが、歳を取るのは初体験である。五十を出てからは日々懼れおののきながら生きている。
オートバイでどうしていたのかと掲示板を弄るってみる。二月二十五日に「次の冬は鉄馬に跨がることができるのだろうか」と書いている。ヒロユキさんによると二十四日の嬬恋村は猛烈な吹雪だったそうな。
ちはらさんがユニクロのヒートテックという下着を買ってきた。パッチは去年はじめて穿いたが、長袖のシャツを着るのは生れてはじめての経験である。今までは真冬でも縮の半袖で通してきた。オークションで千円の革ジャンと三千円のゴアテックスのジャンパーを購入、併せてこの冬を乗り切るつもりである。
乗るのが快感だったオートバイが地獄の責具に思われてくる。そういえば、ゴアテックスを検索するにラテックスで検索、SM用コスチュームが出てきて困惑させられた。店の客からゴアテックスではないのかと指摘され大笑い。頭のなかでオートバイが責具、責具とスピンしていたのかもしれない。
それにしても、楽しいゆきずりとは暖かい人肌でしかない。この種の生臭さだけは消えそうにない。