MHD(ディアジオモエへネシー)は、仏LVMHグループの洋酒部門であるモエ ヘネシー及び英ディアジオ両社の合弁会社。LVMH(エルブイエムエイチ・モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)は、フランスを本拠地とするコングロマリットで、1987年にルイ・ヴィトンとモエ・ヘネシーの両社が合併して誕生した。ルイ・ヴィトン、セリーヌ、クリスチャン・ディオール、ジバンシー、ゲラン、タグ・ホイヤー、ゼニス、デビアス等々五十近くの高級ブランドを持つ。
ワイン・スピリッツの部門はモエ・エ・シャンドン、ヴ−ヴ・クリコ・ポンサルダン、クリュッグ、ルイナール等の企業と同時にブランドが含まれ、世界のシャンパン市場において、LVMHはゆるぎない地位を占めている。なお、日本で人気の高いドン ペリニヨンはモエ・エ・シャンドン社の製品。
日本においてはモエ・エ・シャンドン社及びヘネシ−社の製品及びベルヴェデールは、MHD(ディアジオモエヘネシー)が、ヴ−ヴ・クリコ、クリュッグ、グレンモーレンジ、アードベッグはヴ−ヴ・クリコジャパンが、ルイナールはルイナールジャパンが販売に当たっている。
さて、そのLVMHからグレンモーレンジ・シグネットとアードベッグ・ブラスダの案内が出た。ディアジオジャパンではなく、ディアジオモエヘネシーでもなく、ヴーヴ・クリコジャパンでもなく、LVMHの発売である。
発売はシグネットが10月3日で、ブラスダは10月21日、扱いはエイコーン。宣伝では「濃い官能的なフレーバー、ヴェルヴェットのようなテクスチャー。複雑で卓越したプレミアム・シングルモルトを実現。これまでで最も革新的で、比類なき豊かなフレーバーが味わい深い、型破りなウイスキー。厳選された原料、ユニークな製造方法について、その詳細は明かされていませんが、一部ヒントが公開されています。
・グレンモーレンジの最も古く、希少なウイスキーをブレンド
・原料の一部に深焙りした「チョコレートモルト」を使用
・グレンモーレンジが所有する単一畑のモルトを使用
・グレンモーレンジが特注したデザイナーカスクで熟成」
となっている。46度の加水タイプで、香りはグレンモーレンジらしく上品かつ華やかなモルト・ウィスキーなのだが、腰が弱いように感じる。このところの値上がりを考慮しても、20,600円(エイコーン価格)の売価はちょいと高価にすぎる。デザイナーカスク、チョコレートモルトとの文言が繰り返し遣われているが、意味するところは不明。クリスチャン・ディオールやゲランのパフューム&コスメティックスと同じ感覚での販売のようである。そちらはボウモアの専売特許でなかったか。
アードベッグ・ブラスダの方は、「ピーティなだけでない、アードベッグの魅力。アイラモルトの中でも、もっともピーティなことで知られるアードベッグから、ライトピート麦芽(フェノール値8ppm)を使用した軽やかな味わいの限定品。ブラスダとは、ゲール語で「甘くておいしい」という意味。他のアードベッグとの違いを強調するため、グリーンボトルではなくクリアボトルに冷却濾過を施し、40度でボトリング。ブランド・ディレクターのヘイミッシュ・トーリ氏は『食前酒としてお勧めします。午後八時には(8ppm)のアードベッグ・ブラスダのボトルを開けましょう』」となる。こちらの売価はは6,800円(エイコーン価格)。
ブラスダは試飲していないが、8ppmのアードベッグなら午前八時の間違いではないのか。いくら値上がりしようが、不味いドン ペリニヨンは飲みたくない。同様に「甘くておいしい」アードベッグには興味が湧かない。いよいよアードベッグも高級ブランド化の道を歩むのか。