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お好み焼き   一考   

 

 不良の名はヒロユキ。彼がですぺらへ迷い込んできたのは先週の火曜日、もう名前を出してもよいと思う。
 彼にもっかお好み焼きを覚えていただいている。二十一日に嬬恋村の佐々木幹郎さんの山小屋で小室等と竹与こと二代目高橋竹山のコンサートが開かれる。コンサートには地元の小、中学生が多く集まる。その彼らにお好み焼きを食べさせたいと彼は云う。嬬恋村にお好み焼き屋は当然ない。彼もですぺらではじめて食べたらしい。彼の感想は旨いのひとこと。でも、それを年少者に食べさせたいとの思いは旨いとの言葉をこえて重く響く。彼のためにのみ、今日一キロのすじ肉と同量の蒟蒻を買ってきた。センチメンタルな不良にセンチメンタルに惚れたとでも云っておこうか。
 その心意気を忘れないでほしい。料理とは、割烹とはつねに人様に食していただくのが目的であり、一種の供物である。文学と同じように、自己表現が目的ではない。どんなに腕が達者でも、こころの伴わない割烹は画竜点睛を欠く。割烹にもしも目的があるとするならば、それは主人と客人とがもてなしを挿んで相対する、その会話であり対話である。例え無言であっても一向に構わない。私は彼に権威づけに奔命した本膳料理を学んでほしいとは思わない。江戸時代に入って生産が本格化する醤油の登場以降でよい。煩瑣な約束事に対する批判として生れ、簡素化され闊達を重んじた懐石だけを学んでほしい。


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2008年07月17日 03:24に投稿された記事のページです。

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